第34章 俺の親友が色ボケしすぎててつらい。
今日は12月26日。部活はすでにオフの期間に入っているから、実家に帰ったりする奴も多い。ベッドに寝転がりながら、昨日江から『お母さんも楽しみにしてるんだから、なるべく早く帰ってきてよね』なんて言われたことを思い出す。
(そろそろ荷物まとめるか・・・)
そう思い、ベッドから起き上がった時だった。
「・・・なあ、凛。ちょっといいか?」
ベッドの上の段から宗介が顔を出した。
「は?なんだよ、宗介」
「いや、ちょっと相談、っつーか・・・」
「相談?」
「あー・・・ここじゃあれだから、下降りるわ」
そう言うと宗介はベッドのはしごを伝って、下に降りてきた。そして、俺の正面に立つ。いつになく真剣な瞳の宗介。
てっきり俺は、今日の昼飯はどうするとか、そんな相談だと思ってたから、目の前にいる宗介の様子に戸惑う。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
部屋の中がしんと静まり返る。余程言いにくいことなのか、宗介はなかなか口を開かない。
宗介・・・お前、一体俺に何を相談しようって言うんだよ・・・・・・
・・・・・・わかった!わかったぞ、宗介。お前、卒業後のこと、俺に話してくれようとしてるんだよな?ずっとずっと気になってた。親父さんの手伝いする、なんて言ってたけど、それも決定的な感じじゃなかったし、本当はどうするんだって。だけど、いくら親友って言っても、踏み込んじゃいけないところだと思ってたし、でも親友だからこそ気になってた。
・・・大丈夫だ、宗介。お前がどんな答えを出しても、俺はそれを・・・・・・
「あの、よ・・・ヒカリんちに俺、挨拶に行った方がいいと思うか?」
・・・ん?今、なんて言った?こいつ。『ヒカリ』って聞こえた気がするんだけど、俺の気のせいか?
「なあ、凛。お前はどう思う?やっぱその・・・一回ぐらいはちゃんと挨拶しといた方がいいよな?」
・・・いや、はっきり聞こえた。こいつ、今、『ヒカリ』って言った。
「は・・・はぁぁぁ?!!いや、なんだお前?!」
「はぁ?!お、おい、凛。なに急に怒りだしてんだよ?」
いや怒るわ!!思い詰めた顔してるから、そういう話だと思ったのに、ヒカリの話だと?!しかもなんだ、親に挨拶に行くとか、なんとか・・・