第34章 俺の親友が色ボケしすぎててつらい。
「・・・なあ、凛。どうしたらいいと思う?」
だけど、俺を見つめてる宗介の顔は、今まで見たこともないような表情で。こんな風にこいつに頼られたのって初めてなんじゃないかって思った。
・・・ホントしょうがねえな。そういやヒカリと付き合い始めるまでにも色々あったんだっけな。ヒカリを意識してるのバレバレなのに、自分では全然気付いてねえみたいだったし。
・・・地方大会で、やっとくっついた時はホッとしたっけな・・・・・・
「はっ・・・行きゃあいいんじゃねえの?ヒカリの親だって挨拶されて悪い気はしねえだろ」
「そう・・・だよな。やっぱ凛もそう思うよな」
「ああ」
「ありがとな、凛。俺、ちょっとヒカリに電話して相談してみるわ」
多分宗介の中でもう答えは出ていたんだろう。俺に背中を押されて、宗介は心底ホッとしたような表情になる。そして、これからヒカリと話せるのが嬉しいのか、その頬が緩んでいるのがよくわかる。
・・・あー、ほんっと浮かれてんな、こいつ。
・・・だけど、宗介のこんな顔見れんのも、まあ悪くないかもな。
「なあ、宗介」
携帯を手に、部屋を出て行こうとする宗介の背中に呼びかけた。
・・・悪いな、宗介。やっぱノロケ聞かされてうんざりもしたから、少しだけ意地悪させてもらう。
「なんだ?」
「・・・嫁入り前の大事な一人娘に手、出しちまったんだ。親父さんに一発ぐらいはぶん殴られるかもしんねーぞ」
そう言って、ニヤリと笑ってやった。
「・・・ああ。それぐらいは覚悟のうえだ」
だけど、宗介は俺の想像の更に上をいっていた。眩しいぐらいに真っ直ぐな瞳でそう答えると、宗介は部屋から出て行ってしまった。
「・・・・・・はっ!ホント、敵わねーな」
ヒカリと一緒にいる時の宗介を見れば、あいつがどんぐらいヒカリのことを大事に想ってるかよくわかる。散々からかったりしながら、蕩けそうに優しい目して、ヒカリのこと見てるんだよな。
自分で言っといてなんだけど、宗介がぶん殴られないように、こっそり祈っておくことにした。