第32章 ふたりの、初めて。 その9
「・・・・・・」
「・・・・・・」
もう一回目が合わないかなって宗介さんの方を見たら、今度もすぐに宗介さんと目が合った。
さっきはばかって言っちゃって、そっぽ向いちゃってごめんなさい、そんな意味も込めてにこっと笑って、
『だいすき』
口の動きだけでそう伝えた。
わからないかな、って少し不安だったけどちゃんと伝わったみたい。宗介さんは少しだけ頬を赤くすると、照れくさそうに口を動かして、
『おれも』
そう言ってくれた。
・・・やっぱりそう簡単には好きって言ってくれないみたい。
だけど、そんな宗介さんが宗介さんらしくって大好きだなって心から思える。
もう一度だけ宗介さんと視線を合わせて、みんなに内緒で二人だけでこっそりと笑った。