第32章 ふたりの、初めて。 その9
「ん・・・・・・あさ?・・・・・・いたっ!」
目を覚ますと部屋の中はもう明るくて、ああ朝だから起き上がらなきゃって、身体を起こしかけた。だけど、すぐに腰に鈍い痛みが走って、小さな悲鳴と共に私はまたベッドに倒れ込んでしまった。
「そ、そっか・・・昨日の夜、私・・・・・・あ、あれ?・・・宗介さん?」
痛みと共に昨晩の出来事を一気に思い出す。だけどそこで隣に宗介さんがいないことに気付く。寝転んだままきょろきょろと視線を泳がせてみると、宗介さんの荷物の所に、宗介さんの部屋着が綺麗にたたまれて置かれていた。そして、さらに視線を動かすと時計がもうすぐ9時になろうとしていることに気付いた。
「わ!すごい寝坊しちゃった・・・」
そう口に出して呟いてみるけれど、身体がだるくてまだ起き上がる気になれなかった。
そのままぼんやりと考えを巡らせる。
・・・宗介さん、トイレにでも行ってるのかなあ。目が覚めてすぐに顔が見れなかったのはさみしいけれど、これでよかったのかもしれない。
だって・・・だって、もう恥ずかしすぎる。
・・・私、昨日の夜、なんて大胆なことを言っちゃったんだろう。『宗介さんになら壊されてもいい、何されてもいい』だなんて。
もちろん、それは私の心からの気持ちだ。でも、宗介さんは、最初私の身体を気遣ってやめようとしてくれてた。
だけど、私はそれじゃイヤだった。あったかい毛布の中で、宗介さんに包み込んでもらってたら、なんだかそれだけでは足りなくなって、最初はキスをねだった。キスしてもらったらもっともっと触れて欲しくなって、宗介さんにもっと触れてもらえるなら壊れたっていい、そう思ってしまったんだった。
「うわあぁぁ・・・」
自分が恥ずかしくて仕方なくて、手で顔を覆う。すごく熱い。
本当に、どうかしちゃってたのかもしれない。自分からあんな積極的に誘ってしまうなんて。
・・・いや、そもそもその前にうちに誘ってる時点で十分恥ずかしことしちゃってるんだけど!でも、それにしたって・・・
クリスマスイヴ、勇気をだしてやっと宗介さんと結ばれることができて、その後もずっと一緒に過ごすことができて、楽しくて嬉しくて仕方なくて、なんだかもう気持ちが浮かれすぎちゃってたのかもしれない。
だって・・・あんなに何回も・・・私、昨日が初めてなのに・・・