第29章 ふたりの、初めて。 その6 ※
頭を撫でてやりながら、何度か深呼吸させる。すると、俺自身をぎゅうぎゅうと締め付けていたヒカリのナカが少しゆるんだ気がした。
「ヒカリ・・・そのまま力抜いとけよ」
「はっ、はい・・・!」
ほんの少し挿れただけでも熱く絡みついてくるようなヒカリのナカ。その誘惑に勝てなくて、これまでよりもぐっと腰を深く沈めた。
「!!!!!!・・・いっったぁぁぁい!!!」
やっと俺の先端が入って、だけどそれはヒカリにとってはかなりの痛みを伴ったようで、初めてヒカリが『痛い』という言葉を口にした。
先端に感じるはち切れそうな快感と、一層背中に食い込んだ爪の痛みと、ヒカリを心配する気持ちとが俺の中でごちゃまぜになる。そして、そんな俺の耳に、次の瞬間、部屋の空気を大きく震わせるほどのヒカリのでかい声が飛び込んできた。
「・・・くない!!!!!」
「・・・・・・」
「こここ、こんなのっ!全然痛くないっ!!です!!・・・っっっ・・・!!」
「・・・・・・」
「・・・っっ・・・くぅぅ・・・だ、だから!心配しないで、つ、続けて下さいっっ!!ね?!」
相変わらず色気のないバカでかい声とか『ね?!』と言いながらなぜか握りこぶしを作って気合いたっぷりなとことか。
てか、そもそも『いっったぁぁぁい!!!・・・くない!!!!!』ってなんだ?全身で痛いって言ってるくせに何、強がってんだよ。
ほんっとこいつは・・・・・・
「・・・ふはっ!・・・っはははは!」
「ふぇっ?!・・・そ、宗介さん?!」
・・・ああ、もうダメだ。その全てがあまりにヒカリらしくて笑いが止まらない。
「っははは!お前・・・ほんっと面白えわ・・・ははっ!」
「へ?!え?!」
ヒカリは目を丸くして驚いている。当たり前だ。こんないよいよって時に、相手が大笑いし出すなんて。
でも、俺だってこんなの初めてだ。こんな時におかしくて笑いが止まらなくなっちまうなんて。だけど、これがヒカリなんだ。こんなヒカリだからこそ、俺は・・・