第29章 ふたりの、初めて。 その6 ※
「・・・ヒカリ」
「そ、すけ、さ・・・ん・・・んんっ」
身体を起こしヒカリに顔を近付けると、ヒカリがねだるように唇を突き出してきた。その小さな唇に、噛み付くようにキスを落とす。舌を絡め合わせ、唾液を送り込むと、ごくりと音を立ててヒカリはそれを飲み下した。
「・・・ヒカリ、ちょっと待ってろよ」
「んっ・・・は、はい・・・」
唇を離し、耳元でそう言うと、ヒカリが小さく頷く。それを確認してから、ベッドから身体を起こし、下半身に身につけていた服も全部脱いでいく。
ポケットから取り出した避妊具を、もう痛いぐらいに主張している俺自身に装着する時、ほんの少しだけ手が震えた。
やっぱり緊張、しているんだと思う。初めてでもないのに。だけど、当然だ。こんな気持ちにさせられた女は、ヒカリが初めてだから。
「・・・ヒカリ」
「ん・・・そ、すけさ・・・」
準備が整うと、ヒカリの上に覆いかぶさって、もう一度頭を撫でてやる。何度も何度も安心させてやるように。髪に、額に、頬に唇を落としながら。
俺は・・・こいつが愛おしい。こんな言葉、自分が使うなんて思ってもみなかった。
見た目のまんまにガキっぽくて、色気ねえとことか、何に対してもバカ正直なとことか。小さな身体も柔らかい髪も唇も、すぐに赤くなる頬も、笑った顔も、ヒカリの全部が大事で、守ってやりたいと思う。
だけど、それとは正反対の、壊れるぐらいにこいつをめちゃくちゃに抱いて、何もかも奪ってやりたい、そんな感情があるのも事実だった。
「・・・宗介さん」
ヒカリの頭を撫でながらそんなことを考えていると、ヒカリが囁くような声で俺の名前を呼んだ。
「どうした?」
「あ、あの・・・えっと・・・絶対やめないでくださいね・・・その・・・私が痛がっても、泣いちゃっても・・・」
「・・・」
「宗介さん、優しいから・・・でも、それじゃイヤだから・・・私、ちゃんと・・・し、したいの・・・宗介さんと・・・」
「・・・ああ、わかった」