第28章 ふたりの、初めて。 その5 ※
「・・・あ、あの・・・宗介さん・・・お願いがあるんです・・・」
「・・・なんだ?」
少し宗介さんが顔を上げてくれて、私と宗介さんの視線がぶつかる。
「・・・『好き』って・・・言って・・・」
大事にされてるのは痛いぐらいにわかるけど、やっぱり言葉がほしい。宗介さんの声で『好き』って言ってほしい。
・・・でも、やっぱりダメかな。だって宗介さん一度しか言わないってあの時言ってたから・・・
「好きだ」
だけど、私の色んな心配とか吹き飛ばしてしまうぐらいに、真っ直ぐな宗介さんの声が耳に届いた。
「ヒカリ・・・好きだ」
もう一度、はっきりと私の目を見て、宗介さんが言ってくれる。怖さとか恥ずかしさとか今まで感じてたものが全部どこかへ行ってしまって、ただもう宗介さんへの気持ちが溢れてきた。
「・・・っ・・・っく・・・」
「はっ・・・なに泣いてんだよ」
「だ、だって・・・っ・・・ふ・・・」
宗介さんが少し笑って、そんな宗介さんの笑顔を見ると、涙が更に溢れて止まらなくなる。
やっぱり、宗介さんは宗介さんだ。ちょっといじわるだけど、本当はすごく優しくて。
そんな宗介さんが大好き。
嬉しくて、嬉しいのに、涙が止まらない。
「・・・ヒカリ」
「っん・・・んん・・・」
だけど、そんな私の涙を宗介さんがキスで全部拭ってくれる。目元に、頬に、耳に、宗介さんの唇が触れる度に、宗介さんの気持ちが私に伝わってくるみたいだった。