第28章 ふたりの、初めて。 その5 ※
「・・・宗介さん」
「ん?どうした?」
しばらくの間、私達は抱き合っていた。身体の震えも涙も止まった頃、私は小さな声で宗介さんの名前を呼んだ。
「・・・私、もう大丈夫です・・・」
「・・・ああ、わかった」
・・・もう平気。怖い気持ちは確かにあるけど、宗介さんの想いが伝わったから・・・怖いけど、怖くない。
宗介さんが少しずつ身体を起こして、私と宗介さんの身体が離れていく。ずっと触れ合っていた分、温もりが恋しい。だけど、この続きを知りたい気持ちのほうが強かった。
「宗介さん」
「ん?」
『この続き』を知る前にどうしても伝えておきたいことがあって、私は宗介さんの名前をもう一度呼んだ。
近い距離で宗介さんに見つめられて、一気に頬が熱くなっていく。
「・・・わ、私も・・・宗介さんのことが・・・っ・・・好き、です・・・だ、だいすき・・・」
宗介さんが伝えてくれた気持ち。私も宗介さんに伝えたい。何回言っても足りないくらい、宗介さんのことが大好き。
「・・・ああ、知ってる・・・はっ、お前真っ赤だな」
「っ!や、やだ、もう・・・・・・っん!」
真っ赤になってるのなんてわかりきってる。そんなことわざわざ言わなくたっていいのに、やっぱり宗介さんっていじわるだ。
恥ずかしくて、思わず手で頬を隠してしまう。だけど、そんな私の手に宗介さんが優しくキスを落としてくれる。
「・・・隠すなよ。お前のこれ・・・・・・すげえ・・・可愛い、んだから・・・」
「へ・・・」
見上げた宗介さんの頬が見る見るうちに赤くなっていく。
「・・・」
「・・・」
そのまましばらく二人で見つめ合う。いつの間にか、私の手は頬から外れていて。恥ずかしいけれど、もう恥ずかしくない。だって、宗介さんも私もおんなじぐらいに真っ赤だから。
「・・・ははっ」
「・・・ふふ」
自然と笑みがこぼれて。キスしたいって気持ちが重なったみたいに、私が目を閉じるとすぐに宗介さんの唇が私の唇に触れた。