第28章 ふたりの、初めて。 その5 ※
「お前なあ・・・こんなの練習中散々見てただろ?」
「っっ・・・そ、それはそうですけど!でも!全然違うんです!そ、それに・・・」
・・・わかってる、そんなの。だって、宗介さんの水着姿、今まで練習中にたくさん見てきた。
だけど、プールで見るそれと、ベッドの上で見るそれとは全然違う。この人にこれから全部見られて、全部触れられて、それで・・・抱かれるんだって、強く強く思ってしまう。
「わ、私っ!胸、そんなにおっきくないし、おなかもなんかぷよぷよしてて・・・スタイル、よくないし・・・」
なんで私、こんななんだろう。宗介さんの身体はきっと誰が見たって、逞しくて男らしい身体だって思うだろう。だけど私は違う。胸だって大きいわけじゃないし、くびれだってあんまりないし、全体的に子供みたいだし。こんな身体、宗介さんに見られるの恥ずかしい。宗介さんに喜んでもらえる自信がない。
どうしよう・・・どうしよう。このままじゃ宗介さんの方見れないし、宗介さんに呆れられちゃう。
・・・なんて思っていたら、おでこにあたたかいものが触れた。
「っん・・・宗介、さん?」
恐る恐る目を開けると、すぐ側に宗介さんの顔があった。
「別に・・・かまわねえよ、そんなの。お前が自分のことどう思ってようが俺は・・・お前のこと、見てえんだよ・・・全部」
「っっ・・・わ、笑わない?」
「・・・笑わねえよ」
「き、嫌いにならない?」
「・・・ならねえよ、絶対」
こんな時になんてこと聞いてるんだ、って自分でも思う。だけど、どうしても不安で聞きたかった。
間近にある宗介さんの瞳が、しっかりと私を見つめて答えてくれる。宗介さんの『絶対』という言葉に緊張しきった心が少しゆるむ。
「っっっ!!・・・や、やだ・・・!!」
心がゆるんだと同時に、必死に隠していた手の力も抜けていたみたいで。その隙を縫って宗介さんの手が私の腕を掴み、一瞬にして私は仰向けにさせられていた。
顔に一気に熱が集まる。宗介さんに、胸、見られちゃってる。ぎゅっと痛いぐらいに目を閉じて、恥ずかしさに耐える。