第27章 ふたりの、初めて。 その4
「宗介さん?そんな顔してどうし・・・んんっ」
「・・・ヒカリ」
「そう、すけさ・・・っっ」
自分の気持ちの命じるままに深く口付けると、ヒカリの頬がさらに赤く染まった。一旦唇を離し、その瞳を覗き込むと、俺の気持ちを察したのか、ヒカリがぎゅっと目を閉じた。
「ん・・・ふ・・・んんっ・・・ぁ・・・」
何度か軽く唇を触れ合わせた後で、薄く開いたヒカリの唇の中に舌を侵入させる。ヒカリは身体をびくりと震わせたが、すぐに俺の方へ舌を差し出してきた。その小さな舌を貪るように味わい尽くす。
ただでさえ甘ったるいヒカリの中は、さっき飲んでいたココアのせいでさらに甘ったるくなっていて。俺の中の苦いコーヒーと混ざり合ってそれを飲み下すと、背筋がぞくぞくとして、熱が下半身へと集中していくのがわかった。
普段だったらヒカリに合わせてなるべく怖がらせないようにしてやるのに、今日はその余裕がない。細い腰を強く抱き寄せ、ヒカリの呼吸も何もかも逃がさないようにする。そして、ヒカリのでたらめで稚拙だけれど、必死に俺に応えようとする舌の動きが、俺の気持ちも何もかも更に加速させていった。
「んはぁ・・・は・・・ぁん・・・んん・・・」
ヒカリの口から漏れる甘い吐息と、しがみついてくる小さな手、身体全体で感じる柔らかな感触。
・・・・・・こんだけじゃ足りねえ。足りるわけがねえ。
「んんっ・・・っは・・・そ・・・すけさ・・・っはぁ・・・はぁ・・・」
唇を離すと、ヒカリの顔は今まで見たことがないぐらいに赤く染まっていて、瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうだった。肩で息をしているヒカリの唇の端からは、混ざり合ってどちらのかわからない唾液が伝わっていて、俺は再び顔を近付けてそれを舌で拭い取った。
「ふ!ぅん・・・・」
「・・・もういいよな」
そう言うと、俺はヒカリの身体を横抱きにしてそのまま立ち上がった。
もう限界だった。さっきから、うまくできるかとか、怖がらせたりしないかとか、散々考えては思わずため息ばかりついてしまい、こいつを不安にさせた。だけど今はそんなことどうでもよくなっていた。
早くヒカリを俺のものにしたい。もっと触れて、全部触れて、こいつの中を俺で満たしたい。