第27章 ふたりの、初めて。 その4
「・・・宗介さんっ!!」
「っっ!」
ふわりと甘い香りが鼻をくすぐったと思ったら、ヒカリが俺に抱きついてきていた。
「・・・だいすき・・・宗介さん、だいすき・・・」
すぐ耳元でヒカリの声が聞こえて、たまらずその小さな身体を抱きしめ返した。今日はもう自分を抑えなくていいとわかっているからか、その柔らかな感触をいつもより強く感じた。
「・・・っ・・・・・・ふ・・・」
「・・・ヒカリ?」
ヒカリの身体が小さく震えている。また泣いているのかと思い、少し身体を離してみる。
「・・・ふふ・・・・・・あははは!」
予想とは反対に、ヒカリはなぜかとても楽しそうに笑っていた。
こいつ・・・心配させといてなに笑ってんだよ・・・それにこの流れで普通笑うか?
「・・・なに笑ってんだよ」
「だって・・・宗介さん、耳まで真っ赤なんだもん・・・ふふ!」
「っっ!」
ヒカリの視線が俺の耳に注がれている。顔をそらしてみたところで、この体勢では隠すこともできない。
「ほっぺも真っ赤ですよ?あはは!宗介さん、可愛い!」
「っ・・・んだよ・・・」
「私のこと、いっぱいからかったくせに。宗介さんだっていちごみたいじゃないですか・・・ふふふ」
・・・ホントこいつ色気ねえ。普通この流れでこんなに大笑いするか?男に向かって可愛いって言うか?
・・・なんだよ、いちごって。お前だっていちごみてえに赤い顔してるくせに。
・・・腹が立つ。ガキみたいな顔して笑って。さっきだって小学生に間違われたくせに。
いつだって俺はこいつに振り回されてる。出会った時からずっとだ。
こいつが泣いてたら心が突き動かされて、早く泣き止ましてやりたい、側にいてやりたい、笑顔にしてやりたいと思う。そして、こいつが笑えばたまらなく可愛く思えて、目が離せなくなる。たとえそれまでどれだけ腹が立っていたとしても、そんなことどうでもよくなって、許してしまう。そして、腕の中に閉じ込めて無防備なその唇を奪ってやりたくなる。
・・・・・・色気ねえし、ガキだし、甘ったれで、なんだかんだですぐ泣くし。俺が必死に我慢してたことなんて全然気付かなかったくせに・・・それなのに・・・