第24章 ふたりの、初めて。 その1
「俺も・・・思ってたからな」
「・・・」
「今日、会った時からずっと・・・・・・可愛い、って・・・・・・」
「宗介さん・・・」
さっきよりも宗介さんの頬が赤くなっている気がする。だけど、それを隠すように宗介さんは顔を背けてしまった。
貴澄さんには申し訳ないけど・・・貴澄さんが言ってくれた『可愛い』よりも、宗介さんが言ってくれた『可愛い』の方が何倍も何十倍も嬉しい。照れくさそうにそっぽを向きながら言ってくれたところとか・・・大好き。
12月なのに、こんなに寒いのに、顔も心も熱い。嬉しくてなんだかふわふわして、どこかに飛んでいってしまいそうなぐらい。
「宗介さん・・・あの、だいす・・・ひゃっ!」
「寒いし、とっとと行くぞ」
どうしても我慢できなくって、宗介さんへの想いを伝えようとしたら、私の手が急に強く引っ張られた。
「も、もう!歩くの速いですって」
「・・・また風邪ひいたら困るだろ」
私が少し小走りになってしまうぐらいの速さで、宗介さんは歩いて行く。手を繋いでいなかったら、追いてかれてしまうんじゃないかってぐらい。
・・・だけど知ってる。これは宗介さんの照れ隠しだって。
頑張って歩くスピードを上げて宗介さんの隣に並ぶ。そっと見上げると宗介さんと目が合った。
「・・・なんだよ」
「ふふ、なんでもないです」
「・・・・・・見んな、ばーか」
恥ずかしそうにまた視線を逸らす宗介さんを見てると、自然と笑顔になってしまう。
こんなところがすごく大好き。だから今もすごく幸せなんだけど・・・
・・・どうしよう。うちに誘うタイミング、完全に逃しちゃった・・・