第24章 ふたりの、初めて。 その1
「も、もう1回・・・して、ください・・・」
「っ!・・・お前、なあ・・・・・・」
・・・宗介さん、怒ってる?困ってる?
だけど、どうしてもキスしてほしい。宗介さんにぎゅーってしながら、そしてできればぎゅーってされながら、キスしたい。
「・・・だ、だって・・・」
「・・・周り、人いるんだぞ・・・」
なんて言いながら宗介さんの腕が強く私のことを抱きしめてくれる。少しずつ近づいてくる宗介さんの顔。
いつだって、宗介さんは照れくさそうに、面倒くさそうにしながらも私の望みを叶えてくれる。
そっと目を閉じて、宗介さんのコートの中で、今度は少し長いキスをした。
キスが終わってもまだ離れ難くて、宗介さんの胸に身体を預ける。宗介さんも何も言わないで、私の頭を撫でてくれる。
少し速い宗介さんの鼓動を聞きながら思う。
・・・好き・・・大好き。ぎゅってしてキスするだけじゃ足りない。もっと宗介さんに触れたい。もっと宗介さんに触れてほしい。
・・・やっぱり今日がいい。会ってすぐそんなこと言うなんて変かもしれない。でも、もう待てない。
「・・・あの!宗介さん!」
勇気を振り絞って宗介さんの名前を呼ぶ。見上げると宗介さんと目が合う。顔、多分耳まで真っ赤だ。恥ずかしい。でも、それ以上に私・・・私・・・
「・・・・・・ヒカリ?」
「あのっ!きょ、今日・・・」
「あ!宗介じゃん!!」
遠くから宗介さんの名前を呼ぶ声が聞こえて、私達は反射的に身体を離した。
「貴澄かよ・・・」
少し不機嫌そうな声で宗介さんが言う名前には聞き覚えがあった。貴澄さんって確かこの前、ショッピングモールで会った、宗介さんのお友達・・・
「あはは!ほんっと最近よく会うよね〜!」
「・・・まあな」
にこやかな笑顔で駆け寄ってきた貴澄さんとは対照的に、宗介さんはそっぽを向いてぼそっと答えるだけだ。
一応私も顔見知りだし、挨拶したほうがいいかなと思い、少し前に出てぺこりと頭を下げる。
「あの・・・こんにちは」
「へ?!あ・・・ヒカリちゃん、いたんだ?!ごめん、ヒカリちゃん、ちっちゃいから宗介に隠れてて見えなかったよ!」
「あ、あはは・・・いえ、大丈夫です。こういうの慣れてるので・・・」