第24章 ふたりの、初めて。 その1
少し歩いて駅に着くと、ちょうど電車が来るところだった。素早く乗り込んで、空いている席に腰を下ろす。座ってからも頭に浮かんでくるのは、やっぱり今日のこれからのことばかり。
・・・やっぱり今日はやめておいたほうがいいのかなあ。服装とかも頑張ったけど、やっぱり新しい方がよかったし。
それに・・・何より宗介さんが気にしてしまうかもしれない。宗介さん優しいから、病み上がりだしやめておこう、みたいに言うかもしれない。だけど・・・勇気を出して言って、そんな風に返されちゃったら、私、多分もう二度と宗介さんを誘えない気がする・・・・・・
どうしよう、どうしたらいいのかなあ、もう誘うのやめようかなあ、いやいやでもやっぱり・・・だけど誘うにしてもどのタイミングで?とか、もう頭の中をぐるぐると回りだして。
多分端から見たら、これから彼氏とデートする女の子になんて見えないぐらい、私は頭を抱えて考えこんでしまっていた。
宗介さんとの待ち合わせの駅で、乗り過ごさずに降りれたのは本当に奇跡だったと思う。
電車を降りて携帯で時間を確認すると、待ち合わせの時間をほんの少しだけ過ぎてしまっていた。小走りでホームを駆け抜けて、改札を出ると、少し離れたところに宗介さんが立っていた。
「宗介さん!」
大きな声で名前を呼ぶと、宗介さんが気付いてくれる。小走りからもうちょっとスピードを上げて、急いで宗介さんのところまで駆け寄る。
「はぁっ・・・ご、ごめんなさい!遅くなっちゃって・・・はぁ・・・」
大きく息を吐いて、乱れた呼吸を整える。家であれこれ悩んで出るのが遅くなったせいで、宗介さんを待たせてしまった。
「いや、俺も今来たところだし・・・はっ!んな、慌てなくてもよかったのによ」
「あ、は、はい・・・そ、そうですね・・・」
私を見て、宗介さんがおかしそうに笑う。そして、私の胸が大きく高鳴る。
・・・そうだ。熱出してたり今日のことで悩んでたりしたせいで、忘れがちだったけど、宗介さんにこうして会うの10日ぶりぐらいなんだ・・・
「・・・顔色、もうすっかりいいな」
「っっ!!」
宗介さんの大きな手がそっと私の頬に触れる。それだけで、顔がかあっと熱くなっていくのがわかる。