第23章 すてっぷあっぷ? おまけ
「俺、鮫柄学園3年の山崎宗介と言います。ヒカリさんとお付き合いしています」
そこまで言って、一旦頭を下げる。
・・・彼女の親に挨拶する、なんて初めてだから正直言って勝手がよくわかんねえ。こんなもんでいいのか?
「えっと・・・今日はヒカリさんが風邪をひいて休んでいると聞いたのでおみま「まああ!!そうだったの!!!」
必死になって考えながら話している俺の言葉は、ヒカリの母親のでかい声によって遮られた。
そして、さっきまでの不審げな表情が嘘のように、ヒカリの母親はパッと笑顔になった。
「あの子、夏ぐらいからなんか様子がおかしくって彼氏でもできたのかしらって思ってたんだけど・・・ふふふ、やっぱり当たってたのね!」
「あ、はぁ・・・」
「しかもこんなに素敵な男の子だったなんて!」
「あ、どうも・・・」
「宗介くん?は背が高いのね!何センチあるのかしら?」
「あ、確か185・・・」
「あの子ね、今自分の部屋で寝てるの。まだ熱があってね」
「あ、そうですか・・・」
「私、今からすぐに仕事に戻らないといけないの。ヒカリの食事とか用意するためにちょっと抜けてきたのよ」
「あ、はい・・・」
・・・いや俺、さっきからずっと間抜けな返事しかできてねえぞ。だけど、ヒカリの母親の勢いに押されて、こんな言葉しか出てこない、というのが本当のところだった。
「どうぞ、上がってあの子に会っていってあげて!あの子、とっても喜ぶと思うから・・・ほら、ほら!遠慮しないで!」
「あ・・・っと!・・・は、はい・・・お、お邪魔します・・・」
ヒカリの母親にぐいぐいと背中を押されて、俺は家の中に入れられてしまった。ヒカリと同じぐらい小さな身体なのに、なぜかその力に抗えなくて、俺はただされるがままになってしまっていた。
「それじゃあ私、急いでるからもう行くわね。本当にゆっくりしていってね!」
「あ、はい。ありがとうございます」
俺を押し込むとヒカリの母親は、慌ただしくドアを閉め、行ってしまったようだった。
・・・いや、なんだこれ。俺、ほとんどしゃべってねえぞ。それに、何かこの感覚ってどこかで・・・・・・