第23章 すてっぷあっぷ? おまけ
ヒカリが風邪をひいて休んでいる、と江から連絡が来た。ちょうど今日で期末も終わりだったから、適当に昼飯を済ませてからヒカリの家に見舞いに行ってみることにした。
途中のコンビニでこの前ヒカリが好きだと言っていたプリンを買い、土産にする。風邪の時はこういう物のほうがいいはず・・・・・・
いや待てよ、と一旦思い直す。あいつ、『風邪の時こそたくさん食べて早く治さなきゃ!』とか言っていつも以上に食ったりは・・・・・・いや、さすがにそれはない・・・多分。絶対、と言い切れないのがあいつのあいつらしいところだけどな。
少し口元が緩むのを感じながら、俺はヒカリの家へ向かった。
駅から少し歩いてヒカリの家の前に着く。
さて・・・どうするか。親は共働きだと言っていたから、今ヒカリは家に一人のはず。恐らく2階の自分の部屋で寝ているだろう。となれば、インターホンを鳴らしても気付かない可能性が高い。
起こしてしまうのは悪いが、電話したほうが確実だろう。そう思って、携帯を取り出そうとした時だった。
音を立てて玄関のドアが開いて、そこから小柄な女性が姿を現した。
「・・・あら?どちら様?」
俺がドアのすぐ前に立っていたから当たり前だが、その女性はすぐに俺に気付いた。
「あ・・・っと・・・」
突然のことに驚いて、口ごもってしまう。
だが、よくよく考えてみればこの家から出てきたのなら、いや考えるまでもなく、この人はヒカリの母親だろう。前に写真で見たこともあったし、何よりヒカリに顔立ちがそっくりだった。
「あの・・・うちに何かご用?」
ヒカリの母親が、警戒するように俺を見上げてくる。どこの誰かもわからない、更に俺みたいにでかいのがいきなり家の前にいたら、そうなるのは当たり前だ。
急いで頭を回転させて、どう挨拶するべきかを考える。
「っと・・・ヒカリさんのお母さんですか?」
「はい、そうですが・・・」
まず間違いないだろうが、一応確認をする。ヒカリの母親はまだ怪訝そうな表情をしている。俺は更に続ける。