第1章 STEP BY STEP
「そ、宗介さん、降ろして下さい!私、歩けますから!」
「ダメだ。あの足で歩けるわけねえだろ」
「で、でも負担が・・・肩に・・・」
「これなら負担にならねえから平気だ・・・よっと」
宗介さんは立ち止まると、少し身体を前に傾けて、私を背負い直した。
「ひゃっ!」
「ほら、ちゃんとつかまってねえと危ねえぞ」
「は、はい・・・」
私はもう一度しっかりと宗介さんの首にしがみついた。宗介さんとの距離がすごく近い。さっきキスしてた時のほうが近いはずなのに、また違う感じでドキドキする。
結局あの後は、宗介さんが私をおんぶしてくれて、私の家を目指していくことになった。まだ予定してた時間よりはずっと早いけれど、私のこの足ではもう歩き回れないし、こうしてもらうしかなかった。
「・・・お、重くないですか?」
「重くねえよ、寧ろ軽すぎるぐらいだ。お前、ちゃんと飯食ってるか?・・・いや、十分食ってるか・・・はは」
なんて一人で言って宗介さんは笑っている。そんな小さな振動も宗介さんの背中を通して全部伝わってくる。宗介さんの背中、やっぱりすごく大きいな・・・こうやっておんぶしてもらってると、すごく安心できる。靴擦れになっちゃって少しだけラッキーだったかも・・・なんて言ったら宗介さん、怒るだろうか。
そんなことを考えていたら、とってもいい香りが私の鼻をくすぐった。
・・・ダメダメ!おんぶまでしてもらってるのに、こんなワガママなんて・・・
・・・でも、宗介さんは言いたいことはちゃんと言えって言ってた。
・・・よーし。