第1章 STEP BY STEP
「宗介さん、あのっ!」
「・・・なんだ?・・・いや待て。当ててやる・・・『焼きそば食いてえ』だろ?」
にやりとしながら、宗介さんが少しだけ振り向く。宗介さんが言ったとおり、私達のすぐ隣には焼きそばの屋台が出ていた。
「ちょ、ちょっとだけ正解です・・・本当の正解は・・・『焼きそばとお好み焼きとりんご飴とわたあめとチョコバナナが食べたい』・・・でした・・・」
宗介さんにおんぶされてる私はいつもよりずっと目線が高い。そうなると混雑してても色々な物が見えてきたり、香りが漂ってきたりして・・・必然的にお腹がすいてきてしまうのだった。
でもこれはさすがに多すぎただろうか。宗介さんもどんびきかもしれない・・・
恥ずかしさで宗介さんの肩に顔を埋める。だけど、その宗介さんの肩が震えていることにすぐに気付いた。
「・・・はは・・・ははははっ!!・・・だよな。やっぱそうじゃなきゃヒカリじゃねえよな」
・・・バカだな、私。宗介さんはさっき、私が何を言っても嫌いにならないって言ってくれたのに。
「えっと、お手数かけますが・・・全部美味しそうなので食べたい・・・です」
「ああ、任せとけ・・・・・・まあいいや。ゆっくりいこうぜ」
『ゆっくりいこうぜ』その言葉がまるで、私と宗介さんのこれからのことを言ってくれているようで。嬉しくてまた宗介さんにぎゅっと強くしがみついた。