第1章 出会い「なんでこんなとこで飯食ってるんだ?
社員食堂を出て
非常階段に向かって歩いていると
会議準備室という部屋が目に入る
使用中なのに鍵がかかってる?
目線の高さの窓があり
そこから覗くと
愛川くんが1人でゼリーを
食べていた
なんでこんなところで
飯食ってるんだ?
ずっとこの場で立っているわけにもいかず
非常階段を目指して歩き出す
そして非常階段に着き
タバコを吸っていると
誰かが来る音が聞こえる
ん?上か
これからこの先どうするか
考えていると
「っ…ふっ…ん」
ん?こんなとこで
お楽しみか?
にしては
男の声が聞こえねーな!
「っふ…グスっ…ふぇ…」
よく聞くと泣いてる声だった
そして数分後泣き声は聞こえなくなり
「っふーっよし!っ頑張りますか!」
「!!」
踊り場を去っていく音が聞こえる
ヤバいな
すげぇ可愛くて綺麗な声だった…
誰なんだ?
つーか
休憩時間終わっちまう
そして1人で
部屋に戻り松崎総取締に
声をかける
「なぁ!」
「はい?」
「愛川くんはなぜ
会議準備室で飯を?」
「気づかれたんですか?」
眉の端をピクピクさせ
驚き聞いてくる
「ああ!他の奴より身長が
高いみたいでな!
窓から見えた!」
「なるほど!
あれは私があそこで食べるようにと
鍵を渡してあるんです」
「イジメ対策にか?」
「ええ!
あそこで彼女が食べてる事
口外しないでくださいね!」
「ああ…」
「でないと彼女の居場所が
なくなってしまうので」
「居場所…か」
「あの…葛城代表!」
「なんだ?」
「彼女を愛川優菜くんを
助けてあげて下さい」
「助けてあげろと言われてもな…」
あの子に何をしてあげたら
いいかもわからないのに
返事が出来ないなと思う
「………」
「あ…本社勤務の宮本係長は
連絡取れないのか?」
「宮本はいま長期の海外出張に
出てて2週間後に一時帰国する
予定なんです」
「そうか!それまで
本人が耐えてくれればいいのだがな!」
「ええ!」