第3章 イレギュラー門発生
「勘違いしないでほしいんだけど、私達はあなたをエスコートしに来たわけじゃないわ。あなたが逃げないように見張りに来たのよ」
先程と違い、木虎と三雲が先頭を歩く
もっと言うと木虎は三雲よりも前を腕を組んで歩いている
三雲も木虎もお互いに思うところがあるらしく、考え込みながら歩く
蔵馬はボーダーから支給されたスマホで何かを調べているらしく話に入ってこない…と、いうよりも話自体を聞いていないようだ
そんな間も話は進み、今はイレギュラー門の話題に変わっている
「あなたたちの学校以外でも、警戒区域外にネイバーが現れる事例が昨日から6件、報告されているわ」
「……!」
「今までの6件は偶然非番の隊員が近くにいたから、犠牲者は出なかった。でもこの先はどうなるか分からない。パニックを避けるため公表はされてないけど…今、この街はどこにネイバーが出現してもおかしくない状態なのよ」
『(…部外者がいるから話せないとか言ってなかったっけ?まぁ、別にいいけど)』
木虎の矛盾した発言にクエスチョンマークを浮かべながらも話を聞き流していたが、ピクッと反応し空を見上げる
《緊急警報 緊急警報 門が市街地に発生します 市民の皆様は直ちに避難してください 繰り返します 市民の皆様は直ちに避難してください》
「何!?このネイバー…!こんなの見たことないわ…!」
驚きながら空を見上げる木虎と特に表情を変える様子のない蔵馬の後ろで三雲と空閑は小声で言葉を交わす
「イルガーは爆撃用のトリオン兵だ」
そうこうしている間にも街には爆撃が落とされる
木虎と三雲はそれぞれトリオン体に換装するが、三雲はトリオン不足のため武器が出せずにいた
「…やっぱりC級ね、そこでおとなしくしてなさい。」
「キトラ、おまえ一人で大丈夫なのか?はじめて見る敵なんだろ?」
蔵馬が自分はどうするか考えている横で話が進んでいく
「愚問ね、私はA級隊員よ。あのネイバーは私が始末するわ」
木虎はそう言って蔵馬の方を向く
「先輩は市民の避難、お願いします。」
『りょーかい』
返事を聞き、木虎は街へ向かって駆け出す