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飛行機雲 【暗殺教室】

第2章 はじめての時間


episode02.恋

 それは、私にとってはじめての恋だった。
 先生は認めてくれないかも知れないけど……、やっぱりこの抑えきれない感情は恋なのだと伝えたい。
 大切な私の初恋。
 今でも鮮明に、きらきら輝いている。

 前日、私は風邪を引いたと嘘をついて学校を欠席していた。本当は風邪なんて引いていなかったけど、どうしても登校する気力が湧かなくて、目を閉じてただ一日をやり過ごす事さえも気怠く感じていた。
 先生には普通の生徒として見て欲しかったから、次の日はいつも通り登校した。でもそれは建前で、本当はまだ先生という存在を、他人を信用していなかっただけかもしれない。どうせ何も出来ないし変わらないと決めつけて殻に閉じこもっていた。
 席に着いて一息ついた時、近くからおいと声がした。まさか私を呼んでいるとは思わなくて、名字を呼ばれてぎょっとした。
 首だけで振り向くと、右隣の席の人――名前は確か寺坂くん――がひらひらとプリント片手に頬杖をついていた。
「おらよ」
 ぶっきらぼうに差し出されたそれは、昨日私にも配られるはずだったプリント。私の机は置きっぱなしの教科書やノートで隙間が無いから、寺坂くんが預かっておいてくれたのだろう。
 まさかこんな形でクラスメイトと関わることになるなんて、休んだことを少しだけ後悔した。
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