第1章 ルイ様専属騎士、参上!!
アレックスさんと一定の距離を離れて摸擬刀を構える。
アランさんに教えて貰ったルールでは、相手の急所に剣を当てれば勝ち。
剣を落とされても場外になっても負けにはならないから、逃げ回るも良し。
「二人とも準備は良いか?」
お爺ちゃんが言っていた。
合図のある試合形式の戦いは先に動き出して如何にして相手を追い込むか。
考える隙を与えてはいけない。
相手との体格差でこちらが不利な状況の場合、一番の理想は…__。
「始めっ!!!」
アランさんの大きな合図の後、一直線に砂埃が舞う。
周りの人間は瞬きをする暇もなかっただろう。
喉元に正確に当てられた摸擬刀の先に息を飲んだ。
一歩も動けないその驚異的なスピードに嫌な汗が背中を伝う。
もしこれが本番で、本物の剣だったとするならば。
私の___。