第1章 *
「黄瀬、帰るぞ」
「はぁい!」
長かった部活が、やっと終わった。
部活が早く終わらないかと思ったの初めてっス。
「やけにルンルンだな?」
「当たり前じゃないっスか!先輩が俺の部屋にいるとかもう幸せっス」
「変なやつ」
「変なやつって・・・」
「ふぅ。」
…ため息?
「黄瀬」
「はい?」
先輩が真剣な顔してる・・・。
「あのさ」
身体がビクッと強張った。
…嫌な予感がする。
逃げなきゃ!
「先輩腹減ったんすか?「黄瀬」
「俺、料理にも本当に自信あるんで「黄瀬!」
「黄瀬、いいから・・・いいから聞けよ」
・・・嫌だ。
「・・・はい」
「お前、俺とずっといられるとか考えたことあるか?」
は?
何その質問・・・。
「お、俺はそのつもりだったんスけど…?」
「そうか…」
声が震えないようにして返事をした。
先輩の返事はとても落ち着いた声。
顔が…見れない。
怖い。
「黄瀬、俺は…」
「べ、別にいいっスよ!」
「え…?」
「遊びでとかもう慣れっ子なんで!」
涙を堪えて最大限の笑顔で先輩に向かって初めて嘘をついた。
「ちょっとトイレ行ってくるっス」
「…おい、話を聞けよ! 黄瀬・・・!」
ーバタン。