第1章 *
ズルズルとドアの前に崩れ落ちる。
「うっ、ううっ…」
初めて恋をした人。
初めてウソをついた人。
初めて本物のキスをした人。
初めて一つになって嬉しかった人。
…なのに。
やっぱ男だから?
あり得ないっスよね。
「…おい」
ドア越しに大好きな人の声が聞こえる。
今すぐにでも開けて抱きつきたい。
触れたい。
でも、先輩はそうじゃなかった。
「…いるんだよな、あ、返事はしなくていい、後でシバくから」
こんな時でもシバかれちゃうとか。
「俺、今まで誰とも付き合ったことなくて、告白したことなんてない」
え…知ってるし。
そんなこと、自慢にならないっスよ。
「でもな、お前が入ってきた瞬間 何かで殴られたような衝撃を受けた」
「え…?」
「最初それはお前のオーラがすげえからそれでかと思ってた、 けど…」
先輩、何を話す気…?
「胸が痛いんだ」
...先輩、俺もっス。