第1章 *
「お前を見てると苦しい、なのに一緒にいたい」
…え?
頬に涙が一筋こぼれる。
「この感情が好きなのかなんなのか実際まだわからない」
鈍感。
「でも、やっぱお前が女の子に絡まれたり呼び出されたりしてるの見てると『俺のだ!』って言えねーんだ…自分に自信がねーから」
先輩も苦しいんだ。
「でもそれは好きだから自信ないとか思ったりするんだよな」
ートン。
ドアの向こうに先輩が寄りかかったのがわかった。
「…せんぱ「黄瀬」
「ドア開けていいか、顔が見たい」
「...俺もっス…あ!」
「なんだよ」
「ドア開ける前に…」
このドアが開いたらもしかしたら元に戻れないかもしれない…。
けど、今の気持ちを伝える。
「先輩、愛してるっス」
「っ…お、俺もだ」
「言って」
「え?」
「先輩にも好きって愛してるって言ってほしいっス」
「っ…あー!もー!」
ーガチャッ!
!?
「好きだ、バカ! 心配かけんな!シバくぞ!」
その言葉とは裏腹に抱きしめてる。
俺より小さい身体で。
「…もう離れんな」
先輩がコテン、とおでこ同士をくっつけて見つめてくる。
「はいっス」
「わかったなら…んっ?!」
「そんな誘い方じゃまだまだっスよ、先輩?」
「~?!き、黄瀬ぇ…」
ちゅ、っと口づけしてニッと笑ってみせた。
これが俺の幸せ。
先輩。
こんなホワイトデーでよかった?
本当はプレゼント用意してたんスけど。
俺が予想以上のプレゼントもらっちゃったんで…。
まだ、渡すのは伸ばそうと思います。
おしまい