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【YOI男主】僕のスーパーヒーロー【勇利&ユーリ】

第1章 プロローグ


【プロローグ】

休憩中。
勇利は日本にいる純からの電話を、リンクサイドまで移動しながら聞いていた。
「純、久し振り。元気だった?」
『お蔭さんで。勇利も、ひとまずジャパンオープンはお疲れさんやったなあ。中々ええ具合に仕上がっとったで』
スマホ越しからの、のんびりとした独特の訛りによる日本語の賞賛に、勇利はくすりと笑みを零す。
「有難う。だけど、GPSに向けて更に詰めていかないと。純は今、どうしてるの?」

現在の純は、駆け出しの振付師として勇利達のEXを手掛けた一方で、かつてのコーチだった純曰く『ヒゲ』こと藤枝のアシスタントとして、子供達を教えてもいる。
『今年は、ちょっといけそうなコがおってな。ノービスの全日本選手権に向けてヒゲと一緒に調整中やねん』
「凄いじゃない!本番、上手くいくといいね」
『そうやなあ。あと、コレは僕個人の事なんやけど…』
続いて聞こえてきた純の言葉に、勇利は目を瞬かせる。
「そうなんだ。それは、ええと…頑張って…っていうのも、何か変だね」
『頑張るのは僕と違うからなあ。まあ、センセの話では大した事ないみたいやし、万が一失敗に終わっても今までと変わらんだけやから、案外気楽やねん。それよりも僕のおらん間、教え子達があのヒゲのデリカシーゼロなツッコミに不必要に凹まされるんやないか、てそっちの方が心配や』
「あはは」
毒を含んだ純の呟きに、勇利は小さく笑った。
『…ユリオくんの様子は、どない?』
暫しの沈黙の後、やや声を潜めたような純の質問に、勇利は視線をリンクに移す。
すると、その直後ジャンプの着氷に失敗して尻餅を着くユーリの姿が映った。
受け身を取ったので大事には至らなかったようだが、苛立たしげにエッジで氷に八つ当たりしている所をリリアに厳しく咎められ、やがて不貞腐れながら身体を起こしていた。
「…お世辞にも良い、とは言えないかな。どうやら本格的に始まったみたい。あれから更に背が伸びたし」
『そうか…』
「大変なのは判るけど、こればっかりはユリオ自身がクリアすべき問題だからね」
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