第2章 はじめましてと噛み合わない会話
なんかよく分からないのだけれど、要するにセブルス曰くイギリスでは大好きな人には唇にキスをするのが普通らしい。全く知らなかった…。拒否ってしまって申訳ない…。
「あ、あの…。セブルスも同じ気持ちなのは凄く嬉しいのだけど、日本ではたぶん、しないし…その…。は、恥ずかしいし…」
「…そうか」
「や、でもっ!……此処はイギリスだから、出来るだけ合わせようと思ってる。その…、セブルスが良いなら、たまに…だったら…」
暑いあつい熱いアツイ。身体中の血が熱されてる様だ。
「無理をする必要は無い」
「いや、違うの!…慣れてないだけだから、教えてくれれば助かる。私も、セブルス好きだから…。」
「っ」
恥かしくて両手で口元を覆ったままだった私の手を突然掴むと、痛まない程度にグイッと退かされて、セブルスの顔が視界いっぱいに広がった。
「なっ、んむっ!?……ゃ、っはぁ…まっ……やぁ…ん、ふっ…っ…」
─ピチャ─チュッ──チュルッ─クチュン─
歯列をなぞり、舌を絡めとる。体温に比べてとても熱く感じるセブルスの舌が幾度と無く絡まって、私の舌を吸い上げて。呼吸が追い付かなくなり、腰が痺れてきて、直ぐに苦しくなってしまう。
ドンドンと押した彼の胸に、限界を感じてしがみついたと同時。漸く離れて行った熱は銀糸をひいて私の視覚をも犯し始めた。
「し…したっ…いれ…っはぁ…」
「す、すまないっ」
「っ…はぁ、…も、だめ…」
ゆるゆると、力の抜けた身体をセブルスから引き離すと、名残惜しそうな彼の目とぶつかり、思わず逸らしてしまう。
「…嫌だったか」
「そういう事じゃ…、慣れてないから舌入れるのはだめ」
「慣らせばいいだろう」
「…恥ずかしい」
「夏海」
「っ、だめ。もうしない」
男の表情を見せるセブルスが何とも格好良くて、色っぽくて。折角落ち着いた腰元に、再びゾクリと熱が籠った。
グイグイと押して漸く離れた身体を必死に冷まして行く。
「……我輩を嫌うか?」
「…はぁ?そんな事誰も言ってないでしょ!…セブルスを嫌いになる事なんて無いし、…経験が無いって言ったでしょ。頭では分かってても、追い付けないの」
この国では親しい人達がこんなキスをするのが普通だった何て、全く知らなかった。