第2章 はじめましてと噛み合わない会話
「なんか…。呪文系は一通りやり尽くしてしまって、やる事ない。」
セブルスと禁断の森に入ってから2週間程経ったある日。結局彼の部屋に入り浸っていて、殆どの時間を此処で過ごしているせいで殆ど歩かせて貰えず(足の怪我を悪化させた前科持ち)
その間、カタログ通販を使って日用品や服等は一通り揃え終えてしまい、呪文の練習を始めても大概は5回以内にマスターしてしまうという、謎の能力を発揮したが為に…。
……早々にやることが無くなってしまったのだ。
「アニメーガスはどうしたんだ」
「んー、そっちはもうチョットかなぁ。変身は出来るんだけど…」
「まだ動物が決まらないのかね」
「うーむ…」
変身は出来るのだ。安定もしているし、動物になっても自我を保って居られる。体調も問題ない。
…ただ何故か。毎度毎度、変身する度に動物が違うのだ。
始めて成功した時は黒猫。次はシベリアン・ハスキー。ホワイトタイガーや、梟。蛇だった時もある。…鏡を見ながら、思わず鳥肌が立ったよ。本当。あれはもう御遠慮願いたいな。
「なりたいものを定めれば良いだろう」
「んー、いやぁ。それもそうなんだけど、決めるにしても迷うし。決めたら決めたで、それしか変身できなくなったら、正直勿体無いなぁって思っちゃったり。」
「…相変わらず、欲深いな」
「でも、“それもそうだな”って思ったでしょ?」
「…………まぁ」
「ふふっ、正直で宜しい。ま、これはこれでいいかなって。
欲を言えば、自分がその時なろうとしたものに変身出来ると、更に心強いよね。」
「欲深いな」
「何とでもおっしゃーい」
ボスボスとソファで両足をバタつかせると、無言でやめる様に睨まれしまい、息苦しくなる。
「ねー、今更なんだけどさ。」
「なんだ」
「ここに来た最初の日の夜、私を抱こうとしたの?それとも嫌がらせだったの?」
「…………すまな「あああっ、違うの!もう良いんだけど!」…おい」
「遮ってごめんて。でも、別に謝って欲しい訳じゃないの。…ただ、何がしたかったのかなって。純粋に」
「…女が1人」
「お?」
「女が1人森で倒れていて、傷だらけで記憶は無く。挙句、手足に拘束痕が見付かった。」
「うん。…強姦されたかと思った?」
「…あぁ。」
「で、何で私はセブルスに押し倒されたの?」
