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ハリポタ

第2章 はじめましてと噛み合わない会話




「この部屋の隣があの場所だとは知らなかった。畳の部屋は入ったことも無い。そもそもあの個室は、スリザリン寮でのお前の部屋だった。」

「え?あんな大きな窓もあるのに?」

まさかとしか言い様がない。スリザリン寮は地下だ。そもそも夏海さんが暮らしていたにしろ、そんな贔屓では他の寮生に示しがつかないだろう。

「どういう仕掛けかは知らん。が、スリザリン寮の中にも開かずの間はある。この学校にはそんな部屋は幾つもある、しかし誰も気にはしない。

当時、その開かずの間が夏海の部屋だった。」

「…そう。そうだね、ホグワーツの謎を知ろうとしたところで、時間が幾らあっても足りないわよね。愚問だったわ。」

幾ら考えても、追い付かないどころかまた新たな謎が増えていくばかり。“ホグワーツだもの”これで片付けるしか無いのだろうか。…じゃなければ“魔法だもの”。

…あぁ、胃が痛い。



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自分の部屋はたかだか壁1枚挟んだ向こうだと言うのに、帰る事に抵抗がある。ここ数日、嫌な思いをしなかった訳じゃない。殺され掛けたし、トラウマを呼び起こさせる出来事だってあった。それでも、セブルスが居る。

嫌な思いのほぼ全てがこの男のせいでも、たった数日共に暮らしていて、それを許してしまえるぐらいには、彼の隣は居心地が良過ぎたのだ。

「………じゃあ…、また明日。」

夜目が覚めたら、セブルスの元を訪ねてもいいか。眠れなかったら共にベッドに入って貰えるか。寝る前に、セブルスの入れたミルクたっぷりの紅茶を出してもらえないか。

…言いたいことはいっぱいあった。それでも、私は彼に精神的な助けを求められる程には、距離感を縮められてはいない。彼だって、きっと迷惑に思うだろう。

突然女を拾って、いくら昔の学友だと思い込んでいても、所詮は他人だ。自分のテリトリーにいつまでも置く様なタイプには思えない。

「夏海」

「…ん?」

「………いや、おやすみ」

「…うん、お休みなさい。」

しっかり笑えていたと思う。きっと部屋に入ってしまえば、このモヤモヤも“ま、いいか”と投げてしまえる。



セブルスにこれ以上余計な心配や仕事を増やしたくはない。



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