第2章 はじめましてと噛み合わない会話
マダムマルキンの洋装店を出て、セブルスがガン見してる。
「何だそれは」
「えーと、かくかくしかじか…。譲り受けました。」
「鴉をか」
「うん、でもホグワーツに着いたら離す予定だよ」
「…あまり面倒に首を突っ込むな」
「………はい」
見透かされてるようで、心配症気味の彼の言葉を誤魔化したりは出来なかった。
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無事に煙突からの着地をこなした所で、気が抜けたのか。何だか足首の違和感が強まった気がした。…とは言ったものの、そもそもここ数日は殆どセブルスの部屋に居て、少し立ち上がると「何処に行く」だの「じっとしていろ」だの。
挙句トイレであろうと、席を立つと着いてきて戻った後は暫し監視される。あぁ。今気付いたけど、怪我の心配をしていたのかな。……いや、でもセブルスならそれぐらい、態々観察しなくても知識としてわかるだろう。
暖炉が煙突飛行ネットワーク独特の炎を上げ、セブルスの帰宅を知らせる。
「あ、おかえりなさいセブルス。今日は色々ありがとう!お疲れ様」
「あぁ。」
「朝・昼って食事も取らずに動いてたから、流石にお腹すいたね。厨房ってあっちの梨の絵の所でしょ?何か貰ってくるよ」
「いや、用意してある。それよりも食事の後に渡す物がある。その鳥の事もあるだろう、直ぐに済ませ。」
「(本かな)?わかった、ローブ掛けてくるね。ん。」
自分が脱いだローブとセブルスのローブとを受け取り、キャビネット横のポールハンガーに掛ける。随分歩いたし、私に関しては1度灰まみれになった。クリーニングなり、セブルスに魔法を掛けるなりしてから、キャビネットにしまう方が良いだろう。
「あ、セブルス。これ。」
出発前に渡されたブローチを手に、ルシウスのお陰で使わなかったと礼をいえば、数秒の間の後、セブルスの手に渡る。
「わ、これ日本料理だよね!?」
美味しそうな匂いに仕事部屋のテーブルを覗けば、久し振りの日本食が2人分並べられていた。セブルスがそう伝えたのかは知らないが、明らかに2人ぶんより少ない料理を見て下僕妖精の腕の良さに感服して、ソファに向かう。
「おいしそう!肉じゃがに、香の物。味噌汁と白米。そしてまさかの刺身!!!」
なにこれ、天国…っっ!
