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ハリポタ

第1章 プロローグ





うっわ…、やっちまった。



何年も前のハリポタのフィルムが何故まだココにあるのかを聞く前に、何作目かを聞いておけばよかった。

死の秘宝part2。号泣待った無しの終盤作品は、この2人と見るには気が重い。

まず間違いなく泣いてしまう。
本編開始後間もなくして、帰れば良かったと後悔した。
この映画が終わる頃には、私は号泣していて。もれなく両サイドにバカにされるに違いないのだ。


多くの死が訪れ、最愛のセブルスの死。
そして、ヴォルの死。

何年も何度も見て来たシーンですら、堪らず目を逸らしてしまう。私の好きな人達がほぼ全て。次々に1人の男の思想により殺されていく。

それでも、その男の最期のシーンですら私は涙を流さずには居られない。ハリーとヴォルデモートを繋ぐ呪文が跳ね返り、スクリーンが白くなって行く中で、目頭が熱くなり僅かに逸らした視線を、それでも見逃すまいと正面に戻した。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



なに…、これ……。

何度も見てきた筈のシーン。

無音。静寂だけがシアター内に広がる。吸音材のせいで無音の時に現れる筈の“音”も無く、スクリーンにはヴォルデモートの顔が一面に映し出されたまま。スピーカーからの独特な電子音も聞こえなかった。

こんなシーンあったっけ?何てうっすら頭の隅っこで考えながら映写室を見上げる。

「え、あれ?
賀藤さん、映写トラブルですかね?」

見下ろしていないのか、姿が見えない尾形MGに不安になり、ちょいちょいと右側をつつくものの、反応がない。

「賀藤さん、寝ちゃった?

………っ!?」

視線を落とし、俯いたまま反応の無いMGを覗き込もうとしたところで、左からぎゅっと抱き込まれる。

丸っきり油断していた為、驚きのあまりほぼ反射的に身をよじるが、拘束された身体はビクともしない。…こんな時に、男と女の差を感じさせられるんだよね。嫌でもさ。

「ちょ、山嵜君?ゃ、…どうしたの?」

僅かな恐怖心が生まれ始める中で、それでも左の彼は一言も声を発しなかった。困り果て、助けを求めようと寝ている賀藤さんへ腕を伸ばしたその時だった。

「夏海…。」










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