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ハリポタ

第2章 はじめましてと噛み合わない会話





ドラコを掴んでいた腕は既に、自らの髪を整える事に集中していて、逃げ出そうと思えば彼は逃げ出せる。それでいて、そうしなかった理由はこれか。

私の背後から声が掛かる。

「父上っ」

「おやドラコ、ご友人かな?…随分と、汚れて……っ」

「ウギャッ」

こんのっ親子わあぁ!!!人の足や腕やグイグイ蹴ったり引っ張たり!!!!人形じゃねぇんだぞ、私は!!

「夏海…?」

「はい゙ぃっ?私に何か御用ですかルシウスさん。さっさとその手を離してもらえませんかね、肩を痛めてるんですよ!って聞いてねぇ!?」

…口も悪くはなるよね。だってくっそ痛いんだもん。離せと言ったのに抱き締められたおかげで、お宅のお子さん呆然としてますよ!高貴なマルフォイ家頭首が身も知らぬ小汚い女を抱き締めてるなんて、そりゃ信じ硬いですよね!でも、そんな事よりさっさと助けろドラコ!

「ち、父上!」

よし、良いぞドラコ!そのまま“気をしっかり持て”と続けろ!

「お、お知り合いなのですか?」
「っちげぇよ!そうじゃねぇだろドラコ!」
「えっ」
「これは…失礼、場所を変えよう。」

漸く解放された体を擦りながら顔を上げた先に、店主が迷惑そうに様子を伺っていて、…目が合った。うわ、あの人こわっ。ていうか、ここ。絶対的にノクターン横丁じゃん。気付くの遅っ。

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ルシウスが店主に何かを話している間、私とドラコは店の外で待たされている。いかにも怪し気な老婆や、壁に向かって終始語り掛ける男。

小さな体をこれでもかと寄せ、私のローブの影に隠れようとするドラコに溜息をついて声を掛ける。

「ドラコは今年入学するんだよね?」

「そ、そうだ!僕はスリザリンに入る!お前は?何処の寮だ?」

「あら、嬉しい。そんな若く見えるんだ。…残念ながら私は生徒じゃないの(まだね。)何故スリザリンが良いの?」

物珍しげにジロジロと様子を伺う者。イカれたフリをしているのか、イカレてるのか。確実に此方へと寄ってくるノクターン横丁の住人。

ドラコをローブと店の壁で覆い、じっと周囲を見張る。殺気なんてものを出せる自信はないが「それ以上此方に寄るなと」ハッタリをかけることは出来る。




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