第2章 はじめましてと噛み合わない会話
結局昨日は、1日ゴロゴロして下僕妖精が用意した夕食を2人で食べて。…と言っても食欲が無かったから、セブルスに睨まれるままスープだけは完食して、大人しく眠りについた。
途中、どちらがソファで寝るかで大揉めしたけれど、よく考えれば慣れない場所で私が熟睡出来るわけが無いからと、結局ソファで寝るのは私だと押し切った。
部屋に戻ってから2時過ぎ迄ずっと仕事をしていたセブルスも、気付いた時にはベッドに横になり。ソファでだらけていた筈の私も、どういう訳かセブルスの隣で朝を迎えた。
「なにこれ」
何でセブルスに抱き込まれる形で寝てるの私。てか、お前。もしかしなくても態々ベッドに運んだの?いや結局、そのおかげか熟睡してましたけど!
でもさ、態々こんな…抱き枕じゃねーんだけど私。嫁入り前なんだけど、私!嫁入り予定ねぇけどな!!!
なんて。眉間に皺の寄ったまま目を閉じるセブルスの顔を見上げて、散々心の中で悪態をついてから溜息を1つ。
「……セブルス、トイレ行きたい。ゴメンだけど起きて。」
夏場と言えど、気温は日本よりグッと低い。しかもここは地下。低体温の私としては、同じく大して高くないセブルスの体温が酷く心地いいし、いっそこのままもう一眠り出来てしまうけれど…。
昨日は紅茶に珈琲にスープに…、液体物を多く取りすぎた。尿意は抑えられても、このまま寝るには流石に辛い。
「っ」
「ぅぐっ!?」
薄らと目を開けたセブルスの顔にハラリと掛かった髪を避けようと、何と無しに手を伸ばした瞬間。スプリングを揺らして勢い良く身を起こしたセブルスは、私の喉元に手を押し掛ける。
驚きの余りまともに防御も出来ず、諸に喰らった私は痛みと苦しさで呻き声を上げ、首に掛かる手に必死に両手を重ねる。
「ぁ゙っ…せ、…す…っ」
「っ!?は、す…すまない…っ」
ブラックアウト。正にその寸前、急激な酸素の取り込みで大きく噎せ返った。ゲホゲホと激しく咳き込み、段々とクリアになってくる視界。
時間にして見れば一瞬だったと思う。体感的にはよく言うように長かった。でも、それでも自由になったのは“早かった”と感じられた位だから、それこそほんの一押しだったのだろう。
体の自由が一気に戻って来て、息苦しさも治まった頃に唐突に思い出してベッドから跳ね起きた。
「と、トイレっっ」
