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ハリポタ

第2章 はじめましてと噛み合わない会話





「牝鹿ちゃんは、リー。」

ここ迄名付けていって漸く気付いたらしいセブルスが、羽根ペンを持つ手を止めた。

「最後。“薬”を統括してくれる蝙蝠の貴方は、セブ!」

小箱から目線を上げ、セブルスと視線を合わせた。

「あはっ、何か…。やっぱりこの子達、そっくりなんだもん。……っ、ありがと。…大事にするねっ。」

私が望んでいた世界が広がるこの小さな箱に、彼等を当たり前の様に重ねて、勝手に盛り上がって。迷惑な話だろうけど、こんな形で目に出来るとは思わなかったから。

「…随分と独り言が多いと思っていたら。笑ったり泣いたり、忙しいですな。」

小さな溜息と共に席を立つ彼の言葉にハッとして、最近緩くなった目元をグイグイと擦りあげた腕が、蝙蝠の手に捕まる。

「……夏海さんの物だから“借りる”つもりだけど…、凄く素敵。家のリクちゃんルナちゃんは間違いなく私の勝手な命名だし、レギュも殆ど自信ないけど…。

根拠無いけど、それ以外は結構自信あるよ?この子達は悪戯仕掛け人。牝鹿はリリーで、蝙蝠はセブルス。

…どお?合ってるでしょう?」

「……さぁ。知りたければ“思い出す”事ですな。」

だから、私は貴方達の知っている夏海さんでは無いんだって。…なんて。そうは言っても、彼は聞き入れてはくれないだろうし。困った様に笑うしか私に出来る事は無い。

「ね、これからほぼ1ヶ月もあるんだよね?明日から早速、何か出来ないかな?」

「明日はダイアゴン横丁に行く。」

「っそれなら、グリンゴッツに行きたい!杖と本と…。日用品もある程度揃えたいんだけど、セブルス忙しい?」

「元よりその予定だ」

「ふふっ、ありがとう。……それはそうと、そろそろ離してくれたりする?」

ぐしぐしと涙を拭う姿は、そんなに目に毒(不細工的な意味で)だっただろうか。いつまでも離してもらえない腕の解放を望めば、本人も忘れていたらしく、案外素直に腕の自由は戻って来た。

「…これからの日程と詳細は明日、書類で渡す。」

「はい」

「必要なものがあれば、用意しよう。それから、杖がなければ部屋の扉は開かない。それ迄は此処で大人しくしている事ですな。」

「げっ。…ぃぇ、何でも。暫しの間、お世話になります。」




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