第2章 はじめましてと噛み合わない会話
“学友と話しているようだ”という言葉に、流石に失礼だったかと焦りを覚えたものの、不安を他所にダンブルドア本人は非常に喜んでいるようで、安堵した。
___________________________________________
こうして、長い長い面談というか、面接というか…。
これからの話が無事に纏まったところで、セブルスの自室へと帰ってきた。
「あれ、そう言えば。私の部屋が隣なら、そのまま行けば良かったですね。ついつい普通に入ってしまって、すいません。」
放心状態で部屋に入り、ハッと気付いた時にはセブルスの仕事部屋にあるソファで、これまたセブルスの入れたカフェラテを抱えて呆然としていた。
「かまわん、我輩からも話がある。」
「はなし?」
デスクでテキパキと何かを書き込んだ紙を2枚、3枚と重ねて行く手を止めて、引き出しの中から小箱を取り出した。
「ん。…なに?これ。」
握っていた可愛らしいマグカップをテーブルに置いて、セブルスの元へ向かうと、それは丁度名刺入れサイズの箱だった。
グリフィンドールカラーの上質で艶のある箱を手に取ると、途端に小さな動物が箱の表面をバタバタと走り回る。
何処から現れたのか、どういう仕掛けなのか。最早この世界でそんな言葉は野暮ではあるけれど、可愛らしいその動物達が自由に走り回るその姿に、言葉が出かかるのは仕方が無いと思う。
「可愛い!
鼠と犬とー、狼と蝙蝠。鹿が2匹……って、これ。悪戯仕掛け人…?」
「……」
「あ、違うかっ。
蝙蝠と、猫が2匹と、…あ。犬ももう1匹居たわっ。全然違うね、ごめん」
小さいとは言え、狭い箱の表面を沢山の動物が代わる代わる現れては、側面へ走り去る。高く小箱を掲げて底を覗いてみれば、底の方まで走り回っているようで「見付かってしまった」とでも言うように、目が合った動物がピャッと散って行った。
「ははっ、可愛い!楽しそうだね、この子達!」
「夏海の物だ」
「……っ、え?」
「開けてみろ」
言われるがまま蓋を開けると、どうやら魔法で拡張してあるらしく、仕切りとプラスチックの蓋が付いていた。パキッと音を立てて小さな蓋を上げると、中には薬が沢山入っていた。
「ピルケースですか。結構入ってますね…、何のお薬です?」