第2章 はじめましてと噛み合わない会話
「仕事部屋は、セブルスの隣の部屋を使うといい。寮が決まれば部屋もあるが、仕事に専念する場所も必要じゃろうて」
「ありがとう御座います」
「基本的には、夏海のやり方でよい。ワシから何か頼みがあれば、都度連絡するとしよう。」
「畏まりました」
「何かあれば、ワシやセブルスに言うといい。身の回りの事はセブルスに一任しよう。」
ウインクと共に保護者が決められ、ハリーの現在。先生方への報告内容等、多くの事がテキパキと進んで行き、一息ついた所 で漸く口を挟んだ。
「それで、その…。日本人は若く見られると言いますが、この見た目で流石に1年生は厳しいかと思うのですが…、大丈夫でしょうか…?」
「ふぉふぉ。それも問題ない。セブルスは優秀な魔法薬学の先生。何とかしてくれるはずじゃよ」
おいおい、“なんとか”って…大丈夫かよ。
まぁ、それでも。ここ迄細かい話をするタイプには思えないダンブルドアが、こんな長時間を割いて話してくれるのは、私がこういう性格だと悟ってくれているのだろう。
「問題ない」
「…ん」
「さて、夏海よ。入学式まで1ヶ月ある。出来る準備を万全に済ませねばならん。休暇中は先生方も羽根を伸ばして貰うのが決まりじゃ。勿論、セブルスも。
今年は特別に休暇中の出入りを許可するが、今後の事は2人でよく話して決める事じゃ。“じっくり”の。」
再びパチリとウインクが飛んだ後で、セブルスが唐突に立ち上がった。驚いて見上げる頭にポスンと柔らかな衝撃が落ちて、「戻るぞ」と一言だけ放たれた言葉に思わず頷いてしまった。
「ダンブルドア校長、本当に有難うございました。どうぞ今後とも、よろしくお願い致します。」
「ふぉふぉっ、ワシのことはおじいちゃんとでも呼んでくれんかの?夏海。」
「おじいちゃんはちょっと…。
でも変わりに、慣れるまで嫌でなければ、アルバス…アルって呼んでも良いですか?私がちゃんと、仕事をこなせる様になるまで。」
一瞬沈み掛けたサンタクロースの表情が、出逢ってから一番の笑顔を咲かせてくれた。
「ふぉっふぉっ、まるで学友と話しているようじゃ。」