第2章 はじめましてと噛み合わない会話
「何をしているのかね、石田。」
うたた寝してしまったらしい。ガバッと起き上がり声の主と目が合うと、途端に気まずさか込み上げて来る。
「ん゙ん゙っ、のど…、がらがら゙…」
うわー、酷い声。若干喉の違和感も強くなってるし、早目に対処しとかないと酷くなりそだな、これ。
喉に手をあてて何とか声を出してみるも、セブルスを目の前に緊張もしてくるわで、余計に口が渇く。
「…サイドテーブルに置いた筈だが」
あ、うそ。全然気付かなかった。…ってか、普通ベッドルームに水があるなんて思わなくね?まぁ良いけど。あまり声を出したくないので、無言のまま立ち上がり、ベッドルームに戻る。
…まじだ、普通に置いてあったわ。ちゃんと「飲んで良い?」って、聞きたい事は山々なのだけれど、やっぱり少し緊張するし。声も出そうにないしね。と、早々に諦めて水の入った高そうなゴブレットを両手で持ってから、セブルスの元へ戻って無言で問いかけてみることにした。
「………(飲んで良い?)」コテン
「…あぁ」
おお、伝わった。何かさっきからツンツンしてるけど、まぁいいか。OK貰ったし、一先ず喉の潤い補充が先決だ。
高そうなゴブレットを落とさない様に両手で煽ると、あっという間にゴブレットの中身はカラになった。一息ついてから顔を顰める。…足りない。けど、先程までに比べたらだいぶ違うから、まぁいいか。
「はぁ…、ごちそーさまでした。ありがと。」
…足りない。けど、意識してゆっくり話せばガラガラ声も治まったみたいだから、取り敢えずは良しとしよう。空になったゴブレットを自然に受け取るセブルスに、再度礼を伝えると返事も他所に口を開いた。
「1時間後、校長と面談がある。我輩も呼ばれている、10分前には準備を済ませたまえ。」
「ん。シャワーかりれる?あと、わたしのふく…」
「持ち物は向こうのキャビネットに。着替えは浴室。…ベッドルームの奥だ。」
一つ一つ頷いて、視線を向けて確認する。先決はシャワー。至って普通にやり取りしているが、あんな事があった手前、本当は直ぐにでも洗い流したかった。
もう、どうでも良いとは思うけど、それとこれとは話が別だよね。気持ち悪い事に変わりは無い。
「ありがと、じゅんびするね。」