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ハリポタ

第2章 はじめましてと噛み合わない会話




階段を1つ降りる度、ジメジメと湿った空気が肌に纒わり付く。スネイプ教授と触れ合っている箇所には熱が籠り、一層居心地の悪さを感じるが、そんな事を気にしている場合では無い。

扉を開いたその先に、ホルマリン漬けの薬草や小動物。昆虫など、ドン引きせざるを得ない一室が広がり、中央には大きな机と多くの書類。

数本の羽根ペンやインク瓶。分厚い本や小ぶりの鍋等は、乱雑の様でいて無駄なく置かれていた。

…要するに此処は教授の自室?

薬品棚の奥に隠れる様にして幾つか扉があるが、その内の1つに入った処で、漸く私はベッドの上へ降ろしてもらえる事になった。

「あの、スネイプ教授…、重かったですよね。すいません、有難うございます。

えと、…それから。その、先程は…キス…してごめんなさい。あの、私本当に“夢”だと勘違いしてて…っ本当に、申し訳ありませんでした!」

スタンドライトが1つ、明かりを灯しているだけの薄暗い室内。恥ずかしさの余り教授の顔が見れなくて、申し訳ないと思いながらも、若干視線を逸らして頭を下げた。

無言の時間が怖い。ぎゅっと瞑った目に影が掛かるとギシリとスプリングを揺らして、あっという間に私の体はベッドへと沈んだ。

「いっ、た、な…に…?」

倒れ込んだ衝撃が左肩に響き、反射的に掌で押さえ込もうとした所を流れる様に捕まった。…あぁ、抑え込まれてしまう。

「え…?や、なに…、離してくださ……っスネイプ教授!」

なんで…。何で、何も喋らないの。大好きな登場人物に会えたのに、キスの一件から彼が私に声を聞かせてくれたのは、校長室での一言だけだった。

「スネイプ教…っんぅ!?」

眉間に強く皺を寄せたままの顔で、唇に先程と同じ熱が、深く深く絡み付いていく。

「んっ、…はぁ、せぅ、はぁっ…、やめぅ…んふ、ぅっ」

夢でないと意識が変わったせいで、僅かな恐怖心にゾクゾクとした快感が這い回る。浅い経験に、深過ぎるキスで呼吸がついて行かない。

流れ込んでくる教授の唾液に、ゾワゾワと何かが込み上げる。追い打ちをかけるようにトロトロに混ざり、響く水音が体の自由を奪い切っていく。

捕らわれていた両腕は気付けばしっかりと、彼の指と絡み合っていて、リップ音を残して離れていく姿をぼんやりと見送った。



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