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ハリポタ

第2章 はじめましてと噛み合わない会話







黙ったままニコニコと差し出される紅茶に、ミルクに、クッキー。“お食べ”と言いたいのは喋らずとも伝わって来るので、礼を言って紅茶を一口頂いた。

暫し無言の時間が過ぎ、そろそろ気まずさで頭痛がしてくる頃。勢い良く開かれた扉がバンッと大きな音を立てたと同時に、漸くセブルスが戻ってきた。

真っ直ぐに私の元へ帰って来た彼にジッと視線を向けていれば、目の前に小さな小箱を差し出される。

「……私に?」

思わず日本語で聞いてしまったものの、何となく理解してくれたらしく、再びズイと箱を押し付けられた。恐る恐る手に取りパカリと開いてみれば、小さなピアス2つとチョーカーが綺麗に飾られていた。

角度を変えるとグリーンに光る黒の石が、控え目ながらに存在感を示すピアスと反対に、鮮やかな紅色の石は中が空洞になっているようで、不思議な輝きを持っていた。

黒いレースのチョーカーは、触り心地の良い糸が繊細に編み込まれていて、どちらも高価な物である事は間違いなさそうだ。

「あ…の……セブルス…」

手に取ってしまった手前、非常に申し上げにくいけれど、こんな高価な物は受け取れない。見上げたセブルスは眉間に皺を寄せたままピクリとも反応しない。困った…。困り果ててダンブルドアへ助けを求めると、耳をトントンと示しニコリと笑うので、仕方なく黒いピアスを1つ左耳に着ける事にした。

「どうじゃね。わしの言葉が理解できるかの?」

「えぇ。分かり……、っえ!?」

突如流暢過ぎる日本語を話し始めたダンブルドアに、思わず普通に答えそうになり、驚いて箱を見下ろしていた顔を勢い良く上げた。

「すまぬの。その箱の中には魔法の掛かった物が入れられておる。先ずは、残りの物も全て身に付けるのじゃ。英語を話すのは骨が折れるじゃろうて。」

言われるがまま。いそいそと紅いピアスを身に付けると、ドッと力が抜ける感覚に襲われる。グラリと傾く体を側のセブルスが支えると、大きな溜息をついて残っていたチョーカーを首に着けてくれた。

力が抜けたのはほんの一瞬だけだったようで、セブルスが隣に腰掛けた頃には、特に何とも無かった。

「さて、では夏海。先ずはホグワーツへようこそ。わしは此処で校長をしておる、名は…知っておるじゃろうて、自己紹介は省くとしようかの。何か聞きたい事があるのではないかね?」




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