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ハリポタ

第2章 はじめましてと噛み合わない会話




その後、終始無言・無表情のままのセブルスに抱えられて運ばれた先は、ガーゴイル像を抜けた校長室だった。本来ならば合言葉を必要とする筈のこの像は、セブルスが口を開く前に動き出し、その奥で待つ人物の元へと招き入れた。

「あの、セブルス…。今の校長先生って、何方かな」

まるで無かった事のような雰囲気で再び足を運ぶ様子に、声を掛けまいか迷ったけれど。この後会わされるであろう人物の情報は欲しいでしょ。流石に。…緊張するし。

見上げたセブルスの視線が此方に向いた後、ゆったりとした動きで再び正面に戻り、結局何も答えぬまま校長室へと潜り込む。

ピタリと足を止めたセブルスが視線を向けている先に、人の良さそうなサンタクロース…。もとい、ダンブルドアの姿を捉えると、作品の中ではあるものの見知った顔であったことに、安堵した。

「ほぉっほぉっ、~セブルス~、夏海~?~~、~?~、~ようこそ~~!…あー、~セブルス?」

「~~、夏海・石田~。~~、スリザリン~。ジェームズ・ポッター~、英語を話せない、~お願いします」

目が合った途端、パァっと輝く笑顔を向けて口を開いたダンブルドアは、驚く位にペラペラと“英語”を話し始めた。しかし残念ながら私、英語はからっきし。

僅かに聞き取れた数個の単語を元に、何とか理解しようと無い頭をフル回転させるものの、聞き取れた単語すら本当に合っているのか自信が無いので、埒が明かず。それならば何とか現状を伝えようと、取り敢えず話してみる事にした。

「ぁ、…マイネームイズ、夏海・石田。あー…ソーリー、アイドントスピーク、イングリッシュ。アイフロム、ジャパン。ソーリー、プリーズヘルプミー!」

「OK!off course!」

拍子抜けせざるを得ない位の軽さで承諾するダンブルドアのおかげで、一気に緊張が解け。落ち着いてなんとか礼を伝えれば、返事の代わりにパチンとウインクが返される。

再びセブルスとダンブルドアが2・3話し込んだ後に、私はソファへと運ばれた。痛めた肩に触れないよう、ゆっくりと落とすセブルスを見上げて様子を伺うが、“待て”の一言で済まし、踵を返そうとしたセブルスのローブを咄嗟に掴む。

と、途端に笑い出すダンブルドアにハッとして手を離せば、セブルスは足早に扉の向こうへ消えていった。


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