第68章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋④(宮侑 治)
電話を繋いだまま器用に着替えて
静かになった治の部屋の前を通り過ぎ
チャリに飛び乗る
夜の冷たい風を切って
さっき戻ったばっかりの道を
グングン進んだ
〈侑の部屋電波悪い?
なんか雑音聞こえるけど?〉
「そうか?普通や…」
時々聞こえる
脳天気な質問に適当に応えて…
「どや?
まだ聞き取り難いか?」
辿り着いた姫凪の家の前。
〈あ…もう大丈夫やけど…〉
「せやろ?声チャント聞こえるやろ?」
〈うん…でも…〉
近過ぎる声に気付いたんか
姫凪の声がソワソワしてる
ホンマなんやろね、この可愛さ。