第1章 オープニングトーク
●エルキア
「おーい!ー!!」
後ろから聞こえる声に、振り向く。少女というには少々発育もよく、女性というにも少々幼い顔立ちの彼女。
「どうしたの、ソラ?」
「ダメじゃないかッ!そう簡単に街に出て買い物なんてしちゃあ……ただでさえは体がいい方じゃないんだからさぁ……」
「追い、ついた……、メッ!」
黒い髪の青年と対比的に真っ白い少々。
空と白がを追いかけるのも無理はない。
・は、ステファニー・ドーラの姉(という設定)で才女でありながら、生まれつき体が弱いのだそうだ。
少しのことで風邪を引いたり、寝込んでしまう。だからこそ、選定戦には出られなかったし、出られたとしても民衆からの支持は得られなかっただろう。
王が病弱など言語道断である。
とはいえステフもあれであったが。
なんとか、空白のおかげでエルキアは現状を維持できている。それに関してはとても感謝していた。
あらゆる戦術と戦略をもってして、エルキアは、四種族三国を併合した連邦になり、活気に満ちていた。
新しい資源、失っていた資源を大量に得た商人、農家。それらを買い求める職人。
こんなに素晴らしい日々がおくれるだなんて思ってもいなかった。
だからこそ、私は心のどこかで悔やんでいるのであろう。この盤上の世界ができ、十の盟約によって武力等をもって争うことを禁じられた世界。ゲームによって決まる世界で、なぜ足掻いて、もがいて、必死になった彼らは…………
「?」
そっと顔を除きこんでくる空は、私の表情が暗いことに気がついたようで……嗚呼。彼もこうやって……
心配そうな顔をさせてはいけない!
「あ、ごめんなさい……少しボーッとしてたわ。大丈夫」
「、にぃ、名前呼んだ、だけ」
「ま、まあ、妹よ。
にもそういう日があるってことだ!うん!あとでじっくり聞いてやろうぜ!」
「……にぃ、ベッドで?」
「……白さん」
「看病、ベッド、仕方ない、なにかあっても……」
「何かあったら困りますのよッ!!」
直後響いたのはハリセンの音で、どこから出したのだろうか、私の妹ステファニー・ドーラがそこにいた。