第2章 第一章 無望
「リクくん、お願いだから一人で抱え込まないで」
私は背を叩くなかで彼に告げる。何も知らない彼、何も伝えてない彼には反対されるだろうな。
「これからは、わたしが調査についていって、貴方を守るから」
「___ダメだ」
胸元にあった彼の顔がわたしへと向く。その目には涙が浮かんだままだった。だが、瞳の奥には戸惑いが浮かんでいる。
「大丈夫。私に考えがあるの。魔法使いだって昔教えたでしょ?」
「……それでも、は連れていかない」
「絶対に、何があろうと死人は出さないよ」
「ダメだ!ダメだ!
俺に、まで殺させるのかよ!」
彼は弱気で、強くないのを私は知っている。だからこそ、
「ねぇ、ゲームしましょうか」
「ゲーム、?」
「チェス。リクくんが勝ったら、私は何でもひとつ言うことを聞いてあげる。僕の童貞を貰ってください!でも、胸揉ませろ!でも、キスしろ!でも、ね?」
「なんでそんなのばっかり選ぶんだよ……ああすいませんねぇ、18歳童貞ですいませんでしたねぇ!!」
私から少し距離をとり、涙をぬぐうリク。チェスは彼とはじめてあったときに勝ったゲーム。こんな滅びた世界で、唯一彼がもって逃げたゲーム盤。
「が勝ったら?」
「わたしが勝ったら……
わたしの好きにするわ」
リクの瞳が揺れる。また泣いてしまうのだろうか、いや、今回はわたしのせいか。え、泣かしてしまうの……
「あ、あ、……えっと、調査つれていってもらうのと、絶対に死なないことを約束する」
私は死なない。他種族であればわたしを殺せない。だから、大丈夫。
このままではリクはもっと深いところに心を閉ざしてしまう。わたしでも届かないところに、コロンちゃんでも届かないところに。
だから、助けるんだ。人類を、彼を……
「だから、リクくん。
ゲームをしましょう?」
*
結果から言えば圧勝だった。
リクの童貞は守られた。クソっ
そして私は絶対に死なないことを条件に、調査についていくことにしたのだ。