第1章 小さな村のサーカス
sideシルビア
まさかね......
いつも通りショーをしていたら、魔物ちゃんまで来た
「アタシってば人気者になったのかしらっ!!」
レイピアを片手に魔物ちゃんを薙ぎ払っては
村の人たちを避難させる。
村人が全員逃げた、そう思った時、物陰に隠れて
いる少年が居た。その少年の背後に...
「危ないっっ!!!!」
『うわっ!!』
致命傷には至らないようだが、足を怪我してる様で
動けないようだ。
近くにいた魔物ちゃんを倒して近くの家に入り
やり過ごす。
「話、聞いてもいいかしら?」
『......』
「なんでこんな所に居たの?パパやママは?」
『あの......助け..........』
「?」
今まで喋る様子のなかった少年がポツリとつぶやく
『あの子を助けて、』
カタカタと震えながら懇願してくる少年。
「...あ、あの子?誰の事?どこにいるの?」
『パパは忌み子だって、ママは近付いたら
呪われるって、でもあの子が可哀想だよ!!』
「忌み子..........」
そこでアタシはこの村の言い伝えを思い出す。
「地下に眠る、忌み子......」
『......あの子は、みことは忌み子じゃない!
独りぼっちで可哀想なただの女の子だよ!』
「..........わかったわ、アタシが助ける
絶対に助けてあげる!だから場所を教えて?」
『うん!!!ありがとう!場所は──────』
「ここね、灯台もと暗しとは言ったものね」
場所はサーカステントの裏にある洞窟から行ける
場所であった。
ギィーと錆び付いた嫌な音を立てる扉を潜る。
その先はとても暗く、近くにあった松明を
持っていても少し先しか見えなかった。
「でも、こんな所に本当にいるのかしら?」
人の気配も無く、物音も聞こえないこの空間は
暗くて寂しいとても嫌な空間だった。
少し歩くと、大きめの牢が見える。
きっとこの中に少女が居るのだろう。
ゴクリとつばを飲む。シルビアに変な緊張が走る。
錆び付いた鎖は切り落とすのにはあまりにも
簡単すぎて、拍子抜けさせられる。
「..........居るの?みことちゃん?」
『..........れ?』
帰ってくるはずが無いと高を括っていたため
自分から声を掛けていたがビックリしてしまう。
「どこ?どこに.....」