• テキストサイズ

【APH】本田菊夢 短~中編集

第25章 (日)願わくば



毎日は全く退屈だった。
太陽が天辺に昇る頃に起きて、だらしなく顔を洗い、寝間着を着替えもせず何気なく外を見て眩しさに目を細め、冷蔵庫を開け戸棚を開け何もないなとため息をつき、最後の一つだった小さなアロエヨーグルトの蓋を開ける。

時々起きると夕方だった。何をすることもなく、まるでそれが仕事のように只時間を潰していた。
寝ても寝ても眠い。次に寝たらもう起きないのでは、と思って、それを想像したら何だか笑いがこぼれた。
そうだったら、退屈な毎日が少しは面白く終わるのだろう。

何も音はしない。誰の気配もない。歯が立たないほど平坦な毎日を私は低空飛行で生きていて。
楽しさも悦びも怒りも悲しみもなく、ただ退屈していたのだ。


「こんな私に何があるっていうの」

「そんな貴女も私の国民です」

空虚に問いかけた答えは案外しっかりしていたのが驚きだった。

「生きて死んでそれっきりよ」

「しかし確かに私は貴女の中に存在する」

「世界はこんなにもつまらない」

「世界に挑戦していなければ永遠にそうでしょう」

「いつか私は全てを擲ってフェンスの上から飛んでしまうかも」

「大丈夫」

私の祖国は、本田菊は、秋津は、そう言って優しく優しく微笑むのだ。
私の全身を柔らかく包むような眼差しをくれる。

/ 92ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp