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【APH】本田菊夢 短~中編集

第12章 (闇日)かごめ (戦争、血、暴力表現有)



疲れた、と思った。
吐く息はもう細く短く、酸素を取り込む事にすら疲労を感じる。

私はやるべき事を全てやった。菊のもとから拐われて、一切合切を吐かせようとする敵に唾を吐き黙秘した。
拷問にかけられ、衣服を剥がれ、生きている事に絶望、死ぬよりも恐ろしい感情を身体に刻まれて。

それでも、ただ、菊だけは。
私の中にいる菊だけは、誰にも汚されずにずっとそこに在って。
変わらぬ笑顔を見せてくれていて。
だからこそ私は、まだ正気を保っていられる。


あとどれくらいで死ぬのだろうと冷静に思った。多分1週間もたないはずだ。
捕らえられてしまったのは私の責。菊に迷惑をかけてしまうのがとても悔やまれる。

これ以上迷惑をかけない為にはさっさと死ぬしかないのだが。
人間とは難儀なものだ。死にたいと思っても、身体中が生きたがるのだった。
だが、もう何かをされる事はないだろう。敵は既に私に飽き、放置しているから。

吐息はひゅうひゅうと風のような音を立てた。
菊、無事にしてるといいけど。
それだけが気になる。


「……、ごめ…かぁご…め…」

籠の中の鳥は。
いついつ出遣る。
夜明けの晩に。
鶴と。
亀が。

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