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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第3章 ゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈


【殉難者 1】




こんな風に、


潤の顔をマトモに見たのはいつぶりだろう




なのに……

こんな場所で、有り得ない状況で……


なに…してんだよ……





まじでさ……






やりきれなさで胸が詰まって……





頭にきたのは、最初だけで……





ほら……やっぱり俺が


コイツを不幸にしてしまうんだって……





現実を見せつけられた気がした






ごめんな


俺と、出会ったりなんかしたから……







「……帰るぞ」







解放してやるからな……





差し出した掌に


潤んだ瞳と震える指先が近付いて…


触れそうになった瞬間





制止する静かな声に


ビクリと心臓が跳ねた








「なに…言ってんの?」





智くんの…

こんなに冷たい表情、初めてだ





「……知ってるよね?


智くんは、俺と潤のこと」





ずっとずっと、俺の話を聞いてくれていたのは智くんだったから



側で抱き締めてくれたのも



何も言わず、体温で応えてくれたのも



雅紀の事を酔った勢いで打ち明けた時も



辛いときには抱いていいよって


何もかもを忘れさせてくれた




それなのに……どうして……







「ショーが始まるんだ。


邪魔しないでくれる?」


「なに言って…どうして…?」

「どうして…?」






オカシイとでも言うように鼻で笑って…


智くんは、
淡々と温度のない言葉を並べる






「手放そうとしたくせに……
やっぱり側にいたいって?

そうしてまた、繰り返すんだよ。翔くんは……」


「智くん……?」

「距離が近付けば、
また怖くなるんでしょ?

曖昧な関係だけ望んで、
それ以上になろうとすると、自分から離れてく…」





言葉ひとつひとつの意味がわからなくて……


智くんが、どうしてそんなこと言うのか……


それじゃ……まるで……





一瞬、過った思いに、まさかと息を飲む





そんな俺の耳に、
掠れた声が聞こえた






「それってさ…

大野さんは、

翔が好きだってこと?」






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