第3章 ゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈
【肯定の仕方 3】
まだ実感なんてなくて
夢の中にいるようで、現実感なんてまるでない
いつもの黒いスーツを着て
控え室のソファーに腰掛けたまま、組んだ指先を見つめていた
開店したばかりの店は慌ただしくて
不安な気持ちを、追い込んでく
「上客には、ジュンの話しろよ…」
黒服同士の会話が聞こえて、ビクリと肩が震えた
嘘みたいな現実が、
此処にはあるから
記憶に焼き付いた影像が、
何度も頭の中で繰り返されて
自然と身体が震え出す
「ちゃんと来たんだ。エライね」
俯いた目先が暗くなって
足元を上に辿ると
穏やかな顔が、そこにはあった
「大野さん…」
「ホントにいいの?
始まったら、逃げらんなくなるよ…?」
どうして俺は、
此処に来たんだろう
確かな答えなんてわからないのに……
闇に染まれば
翔の心を知れんじゃないかって……
それだけで
俺は今、
ここにいるんだと思う
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