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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第3章 ゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈


【カゲロウ 1】




ソファーに浅く腰掛けたまま、チラリと目線を上げる

会話もなく、音もない空間は落ち着かなくて、

息を飲む音さえ、響いて聞こえた








なのに…

そんな俺とは裏腹に

煙草を吹かしたまま、涼しい顔をしている







「あ、のっ…」





痺れを切らし、
顔を上げ、言葉を続けた






「今日は……その…」






研修しないのか…?


馴れない場所に、スーツ姿で

"何もない"なんて

どうしていいかわからない






「ふふっ…なに?

シたくなっちゃった?」

「ちがっ…その」

「チガウの?」





口元は笑って見えるのに、

瞳の奥はちっとも笑ってなくて、身体に力が入った




「潤くんが決めたことなんだよ?

翔くんの事知りたいからって。…嘘だったの?」

「嘘なんかじゃ…」






ギシッ…と、

ベッドを軋ませ、
大野さんが立ち上がる




煙草を灰皿に押し潰し、火を消すと

ゆっくりと俺に近付いてきた





速なる鼓動を意識しながら、ますます身体に力が入る


目線を逸らせない俺に


被さるようにして、
ソファーに手を掛けた







「最後までヤる覚悟もないくせに。


そんなんで勤まるわけないじゃん」






冷ややかに吐かれる言葉




見下ろされたまま、

何も言い返せない






「ホントは翔くんのこと軽蔑してる?


オトコとヤってんだもんね」





軽蔑?

するわけない!





「してない!

そんなことないっ」





翔は……
俺の唯一の家族なんだから……






「そう?

んじゃさ…
当ててあげよっか?」





クスクス笑いながら、
俺の頬を撫で……


窺うように、覗き込んだ







「最初から
そんな気なかったんだよね?

潤くんは」


「え…?」

「コンナトコに来て、翔くんの事知りたいだなんて…」








俺の鼓動は

きっと、大野さんに届いているだろう






鼓動だけじゃなくって……





「ただ、
離れて行こうとする翔くんを、
繋ぎ止めたいだけなんだ」







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