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DIVE TO BLUE 【気象系BL】

第3章 ゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈


【硝子の欠片たち 1】




「え…?
潤くん、帰り遅いの?」

「ああ。新しいバイト見つけたのか
彼女と遊んでんのか」






待ち合わせたBARのカウンター


最後だと決めた場所に
こうしてまた直ぐに脚を踏み入れるとは思わなかった


とりあえず、お互いにオーダーした酒を飲み始める


意識し過ぎるせいか、


雅紀が時折見せる物憂げな視線や、
新しく入ってくる客を気にする素振りに


ああ、やっぱり気にしてんだなって思った



当たり前だよな

コイツには…
二宮がいるんだから




「しょーちゃんは…大丈夫?」

「え?俺?」

「うん。だって…」





言いにくそうに口を開く雅紀に、頷いて促すと


半分ほどになった琥珀色のバーボン・バックを一口含んで


覚悟したように話し出した





「ぜんぶ…話したんでしょ?昔のこと。

知られたくなかったよね?ホントはさ」





表情を伺うような優しい瞳と
相変わらず掠れた声が、ジンと胸に響く





「まぁ…そりゃ、ずっと知られないまま過ごせたら良かったんだろうけど」





グラスを両手に包んで、

そこに写る自分を見てた






「……やっぱり、そういうわけにはいかないんだな。

そう簡単には……」






赦されはしないし


罪は、永遠に消えない






「軽はずみに言ってんじゃないよ?

あのさ…俺
潤くんならわかってくれるんじゃないかって……」






そうかも知れない


ずっと側にいてくれた潤なら、


話せば……




だけどさ?
まだガキのアイツに背負わすには、


あまりにも酷い過去じゃないか?


人を殺めようとした俺と


誰が一緒にいてくれんだよ





現にアイツは、

家を出ようとしてた









「とにかくさ。

俺は…自分からは潤に何も言えない。

俺がアイツの立場でも、逃げたと思うよ」


「そんな…っ」






曖昧に笑顔を浮かべ、グラスを傾けると


すっかりそれは水っぽくなっていた







「しょーちゃん…」





不意に思い出された記憶


他人のことなのに、
泣きそうな雅紀の顔に、


また、胸を締め付けられた







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